サッカー的にも、文化的にも田舎の国ばかり集まる大会だけれど、意外にも選手のモチベーションが高くて、見ていて楽しい。
どのカードにもよくお客さんが入って盛り上げてくれている。日本の選手がずいぶんブーイングをうけたらしいけれども、これは多分に気分的なものであって、上司の愚痴を言い合ってその場かぎりの友情を確認しあうような、盛り上げのためのネタにしたんじゃないか。良くも悪くも東アジア的盛り上がりを見せている。
これからほんとうの国際的な舞台になるにしたがって、なくなっていくものとして覚えておこうくらいの意識でいた方が良さそうだ。オセアニアが参加したら、ほんとに楽しくなると思う。


選手たちの「故郷に錦を」的な意識も、たとえば日本の高校生よりも高かったりするんじゃないか。感情を爆発させている姿は、見ていて心地よい。
選手たちを支えているのは、豊富なタレント性でも、「ゲルマン魂」のようなものでもなく、「がんばり」ていどのものだったりする。足が止まってしまうようなキツイときにこそ発揮されるような深みがない。そこがかわいい。
バーレーンの選手がPK戦でゴールを決めたあと、味方のキーパーにかけよって「あとは頼んだぞ」って言うつもりが、自分の緊張から解放されたショックで両足をつって倒れ、担架で運ばれた。目の前でとつぜん倒れられたキーパーはびっくりしたろうけれども、かわいくて、ぼくは笑った。


中東のチームもいわゆる「近代的サッカー」をやるんだけれども、肝心なところで足が止まったり、簡単なシュートを外したりする。スキルはあるのに、かけひきの下手さ、集中力のなさは、短い試合だけを見ても民族性だろうかと思わせるものがある。トルシエは日本のあと中東に行って、最近やめさせられたけれども、自分の感じている違和感の質に気づかないまま、手応えを得ることなくやめたのではないかな。日本が恋しくさえあったと思う。たとえばロレンスの感じていたアラブの魅力ってなんだろう。日本とも、西欧ともまったく違うなにかがあるんだろうな。